『”中国製”の新型コロナウイルスのワクチンの接種証明があれば、ビジネスマンやその家族などが渡航ビザを申請する際、必要書類の一部を省略するなど便宜を図る』という中国大使館の発表があり、ちょっと心がざわついています。
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“中国製ワクチン接種者 ビザ申請時に便宜” 日本の中国大使館 | 新型コロナ ワクチン(日本国内) | NHKニュース
【NHK】日本やタイ、それにフィリピンなどの中国大使館は、渡航ビザを申請する際、中国製の新型コロナウ ...
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このニュースを聞くまでは、自分が”中国製ワクチン”を打つことなど全く想定していなかったのですが、ビザ申請が非常に難しいといわれる現在、中国への渡航がしやすくなるというならば、今後、中国ビジネスを円滑に進めるための手段のひとつとして”中国製ワクチン”を打つ可能性も視野に・・・と考えた方も多いのではないでしょうか?
日本では中国製ワクチンが承認されておらず、おそらくこの先も承認に向けた動きはなさそうなので、日本国内の中国渡航希望者には現実的な話ではなさそうです。
一方で、現在ビジネスで中国に駐在しており一年以上帰国ができていない駐在員らにとっては、現地で中国製ワクチン接種を検討する日本人も出てくるのかもしれません。
そこで今回は、”中国製ワクチン”について中国のネットで得られた情報をまとめてみました。
承認された中国製ワクチンは4種類
2021年3月15日時点で中国国内では4つのワクチンが承認されており、ワクチンの種類別では「不活化ワクチン」3つと「ウイルスベクターワクチン」が1つです。
不活化ワクチン
インフルエンザワクチンのように不活化弱毒化したウイルスの一部を投与するタイプで、2回摂取する必要があります。
摂氏2~8度という通常の冷蔵庫の温度で2〜3年間保管できるという利点があるので接種しやすいワクチンです。
日本で採用が予定されている新型コロナワクチン(ファイザー社、モデルナ社、アストラゼネカ社)とは異なるタイプのワクチンのようです。
シノファーム(北京研究所)製
2020年12月31日に承認された、シノファームの北京研究所(国薬集団中国生物北京生物制品研究所有限責任公司)で開発された不活化ワクチンです。
シノバック・バイオテック製
2021年2月6日に承認された、シノバック・バイオテック(北京科興中維生物技術有限公司)の不活化ワクチンです。
シノファーム(武漢研究所)製
2021年2月25日に承認された、シノファーム武漢研究所(国薬集団中国生物武漢生物制品研究所有限責任公司)の「不活化ワクチン」です。
ウイルスベクターワクチン
ウイルスベクターというタイプのワクチンで、1回の接種で抗体ができるようです。
日本で採用が予定されているアストラゼネカ社のワクチンも、このウイルスベクタータイプのようですが、ワクチンの接種後に血栓ができるなどの事例が報告されていますよね。
カンシノ・バイオロジクス
2021年2月25日に承認された、カンシノ・バイオロジクス(康希諾生物股份公司)と人民解放軍に属する軍事科学院軍事医学研究院生物工学研究所が共同で開発した「アデノウイルスベクター5型ワクチン」です。
その他開発中のワクチンも多数
5種類16製品のワクチンの臨床試験が実施されており、そのうち7製品が第3相試験(フェーズ3)まで進んでいるようです。
中国製ワクチンは安全か?
中国のニュースサイトを見ると、海外でワクチン接種後に死亡した記事は大々的に報道していますが、中国製ワクチン接種後の死亡記事は見つかりませんでした。
一方で、香港では中国製ワクチン接種後の死亡事例が複数確認されているという報道もあります。
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中国製ワクチン接種の男性2人死亡 香港(2021年3月14日掲載)|日テレNEWS NNN
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中国製ワクチンを導入する国々
日本では承認されていない中国製ワクチンですが、中国政府の積極的なワクチン外交により世界各地で続々と中国製ワクチンの使用が始まっているようです。
⬇︎中国製ワクチンを承認(予定)の国々
- インドネシア
- カンボジア
- シンガポール
- タイ
- フィリピン
- ベトナム
- マレーシア
- ミャンマー
- ラオス
- アラブ首長国連邦
- エジプト
- トルコ
- バーレーン
- ヨルダン
- セルビア
- ハンガリー
- チリ
- ブラジル
中国製ワクチンまとめ
ワクチンが全世界に広まった後は、ふたたび自由な往来ができる日々が戻ってくると思っていましたが、中国のワクチンによるビザ優遇措置やワクチン外交の動向によっては、日本人が自由に中国へ渡航できる日はまだまだ先になるような風向きも感じます。