日本ではあまり馴染みのない食用のザリガニですが、近年、中国ではものすごいブームが来ており、ザリガニ産業のIoT化により、巨大な産業へと変貌を遂げています。
中国のザリガニ産業の規模
中国のザリガニの養殖面積および生産量
2016年養殖生産量:85.23万トン(2007年比+221%)
養殖面積:900万畝=893平方キロメートル(東京ドーム19,000個相当)
総漁獲量:89.91万トン
中国は世界一のザリガニ生産国です。
2007-2016年のザリガニ養殖生産量の推移
中国のザリガニ産業規模
中国のザリガニ産業の発展は90年代初めからであり、最初は「捕獲+飲食」だったものが、徐々に養殖、加工、流通、観光までの一貫した産業を形成してきました。
第一次産業としては主にザリガニの養殖、第二次産業としてはザリガニの加工、第三次産業としてはザリガニの市場流通、飲食提供、お祭り、レジャーなどです。
統計資料によると
中国のザリガニ生産高:564.10億人民元
中国のザリガニ経済規模:1466.10億人民元
中国のザリガニ産業従事者:約500万人
中国のザリガニ産業分布
中国のザリガニ生産地域
ザリガニの生産地は長江中下流域の地域である、湖北、安徽、江蘇、湖南、江西が全国の生産量の95%を占めています。規模が最も大きいのは湖北省で、2016年の養殖面積は487万畝、生産量48.9万トンで全国の6割を占めています。近年は需要の増加により養殖値は四川、重慶、河南、山東、浙江、広西などにも拡大しています。
2012-2016年のザリガニ5大産地における養殖面積と生産量
2012-2016年のザリガニ5大産地の養殖面積の推移
2012-2016年のザリガニ5大産地の生産量の推移
全国のザリガニ養殖生産量分布
中国のザリガニ産業構造
2016年の経済規模は1466.10億元。第一次産業は564.10億、第二次産業は102億、第三次産業は800億になります。
中国のザリガニ産業構造
中国のザリガニ市場の消費
中国国内消費
ザリガニの国内消費は飲食と加工が主であり、2016年のザリガニ生産量が89.91万トンに対し、消費量は87.93万トンです。
ザリガニの需給バランス表(2014-2016年)
中国のザリガニ市場価格
ザリガニの生産供給は季節性が明確であり、市場価格は供給量の変化に応じて上下します。直近三年ではザリガニ価格は年々上昇を続けており、毎年6-7月が価格の底になるトレンドです。
中国のザリガニ市場卸価格の推移
中国のザリガニ出荷価格の推移
ザリガニの国際貿易
中国のザリガニ輸出は欧米向けが80%以上を占めています。2016年のザリガニ輸出量は2.33万トンで、輸出額は2.59億ドルで、内訳はアメリカ向け輸出額が1億ドルで全体の約40%を占めています。
国内消費の拡大と貿易障壁の影響で、2015年以降ザリガニの輸出量は減少傾向になっています。2016年は2014年比で0.64万トン、21.48%減少しています。ザリガニの輸出単価は、2007年以降ずっと上昇トレンドでしたが、2016年は世界的なエビ価格下落の影響を受けて下降しました。一方、ザリガニの輸入価格も年々上昇していましたが、2014年以降は安定しています。
2007-2016年ザリガニ輸出状況
2007-2016年ザリガニ輸入状況
ザリガニの市場局面
国内市場では、ザリガニの主要消費地は華北、華東地区の大中都市で、北京、武漢、南京、上海、合肥、杭州、常州、無錫、蘇州、長沙などは年消費量が1万トンを超えています。
近年は、消費地も拡大を続けており、消費量は年々上昇を続けています。世界的に見てもザリガニの国際需要は上昇しています。近年は、国内価格の上昇により、多くの輸出企業は国内向け販売にシフトしています。
中国のザリガニ産業の発展
加工産業の発展
中国のザリガニ産業の発展は、1990年代初頭にはじまり、江蘇省などで捕獲した野生のザリガニを、冷凍むき身、殻付きボイル、冷凍エビフライなどに加工し、欧米へ輸出し採算を得ていました。
現在のザリガニの主要加工製品は、むき身、殻付き、味付けの有無など加工方法は初期に比べると大幅に進歩し、短時間でより繊細な加工が可能になりました。
近年では、ザリガニ副産物の加工の発展が著しく、キチンキトサンの生成、キトサンカプセル、水溶性キトサン、カルボキシメチルキトサン、キトサンオリゴ糖などの製品を日本や欧米へ輸出しており、ヨーロッパにおけるグルコサミン硫酸塩塩化カリウムの90%は江蘇省産となっています。
不完全な統計ながらも、湖北省と江蘇省の関連企業はキトサン関連製品の生産高が25億元を超えています。2016年の中国ザリガニ加工企業は約100社あり、その加工能力は約90万トンになります。
中国のザリガニ流通の発展
近年では、中国のザリガニ市場取引が活発で、各水産取引市場にはザリガニ専門店があります。武漢、南京、上海、杭州、合肥などの水産品集散地ではザリガニ専門の取引所が建設されています。各地で積極的なザリガニ冷凍運搬システムを導入しています。例えば湖北省潜江市のエビ一貫産業区では、電子取引所、エビ取引センター、品質検査室、物流配送センター、養殖地および関連資源など、低温流通サービスシステムを構築し、12時間から18時間での全国各地への配送を実現させ、ザリガニの生存率と品質を保証しています。ザリガニの電子取引は随時刷新されており、各地で「インターネット+ザリガニ」の経営体系が構築されることにより、伝統ある企業も電子取引を導入しています。不完全な統計ながらも、湖北省のザリガニネット年緩売上高は2億元を超えており、江蘇省も1億近くあります。
ザリガニ飲食の発展
飲食による消費は市場の需要に対し重要な影響を及ぼします。各地で積極的なザリガニ料理の開発を行い、有名なザリガニ料理やザリガニブランドを形成することで、ザリガニ飲食消費の発展に深く寄与しています。江蘇省南京市で開発された20数種類の味付けのザリガニ料理「金陵鮮韵」は、ザリガニ料理の売上が南京すべての飲食売上額の20-25%を占めており、100億元を超えています。
湖北省潜江市の「油焖大虾」は「中国名菜」の称号を得て、近年は新たに「ガーリックエビ」「エビの姿蒸し」「エビのすり身」などの新料理を打ち出し、有力な消費地になっています。安徽省合肥市はエビグルメ街を打出し、800軒を超えるエビ専門店、ピーク期の1日当たりのエビ消費量は80トンで、ザリガニを食べることが合肥のファッションになりました。
不完全な統計ながら、2016年の湖北省のザリガニ専門飲食店は15,000軒を超え、ザリガニ飲食の売上高は332.62億元で前年比30%以上になっています。
ザリガニの祭事文化
ザリガニの祭事文化はブランド価値を高め、消費を促進し、産業を融合させ、増収を促進させる重要な手段です。全国各地で各種のザリガニ祭り、ザリガニ生態観察ツアー、ザリガニ早食い大会、ザリガニグルメ鑑評会などのイベントが行われ、ザリガニ文化を人気のレジャーイベントとにしようと組織的に展開しています。
不完全な統計ながら、現在全国で毎年ザリガニ祭りイベントに参加する人々は8200万人を超えており、微博(Weibo)や微信(Wechat)などのSNSを介して1億6千万以上の関連記事が投稿されており、「世界のザリガニが中国を見ている」は国内外の消費者にシェアとイイネをされています。江蘇省盱眙では2001年から「国際エビフェスタ」を主催しており、盱眙の十三香龍蝦という料理が全国的に有名になり、ザリガニも江蘇省盱眙の名産物となり、南京、杭州、揚州、蘇州、上海など周辺地区のザリガニ飲食店へ展開され、上海では千人でザリガニの皮を剥くなどの熱狂的なイベントが行われています。
湖北省潜江では、7年連続で「中国潜江エビフェスタ」を成功させ、「グルメ・文化・経済」を一体化したブランドを打出してきました。安徽省合肥では16年連続でエビフェスタを成功させ、合肥市の民衆にとって重要な祭りであり地域の特色のある祭日として、「中国の祭りTOP50」に選ばれました。
その他、江西、湖南などでも違った形式のエビフェスタが行われ、各地の名物となっています。
中国ザリガニブランドの創設
各地で打ち出されるブランディングはザリガニ産業の発展にとって重要な施策です。様々な施策を打ち出すことで、全国的に有名なブランドを作り上げることに成功しています。例えば、江蘇省盱眙では2006年にザリガニの地域標準を制定し、盱眙のエビは養殖、加工、サービスまでISO9001を取得、「盱眙のエビ」は全国で初めて原産地を証明する商標を取得し、国の「中国名農産品」や「中国エビの都」の称号も得て、「盱眙のエビ」のブランド化に成功しました。
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