東京オリンピックの各競技で、中国選手はたくさんのメダルを獲得していたのに、いつまでたっても強くならないのがサッカー中国代表です。
中には海外組としてヨーロッパで活躍する選手もいたりするのですが、孤軍奮闘でチームとしてうまく機能していない印象です。
代表チームのW杯本戦出場は、サッカー好きである習近平国家主席の夢であり、国策としてサッカーの強化に力を入れているはずなのですが、思うような結果が出ていないのが実情です。
とにかくカタールW杯のアジア最終予選を勝ち抜きたい中国サッカー協会は、2019年から最後の手段に出ます。
それは、中国リーグでプレーする外国出身選手に次々と国籍を与え、代表に招集させ始めたのです。
FIFAが定める帰化の要件には「5年間の連続滞在」があるため、おそらく5年以上前から帰化計画は進んでいたものと思われます。
さて、いったいどんな経歴の外国人選手が中国に帰化しているのか?
今回は、そんなサッカー中国代表事情について解説します。
サッカー中国代表メンバー
まずは、カタールW杯アジア最終予選に臨む最新のサッカー中国代表のメンバーを見てみましょう。
Pos | No. | 名前 | 所属 | 生年月日 | 年齢 |
---|---|---|---|---|---|
監督 | リー・ティエ(李铁) | 1977/5/18 | |||
GK | 1 | イェン・ジュンリン(颜骏凌) | 上海海港 | 1991/1/28 | 30 |
GK | 12 | リウ・ダンゾ(刘殿座) | 広州FC | 1990/6/26 | 31 |
GK | 23 | ワン・ダイライ(王大雷) | 山東泰山 | 1989/1/10 | 32 |
DF | 2 | リー・アン(李昂) | 上海海港 | 1993/9/15 | 27 |
DF | 3 | ワン・シンチャオ(王燊超) | 上海海港 | 1989/2/8 | 32 |
DF | 4 | コ・ジュンイ(高准翼) | 広州FC | 1995/8/21 | 25 |
DF | 5 | チャン・リンペン(张琳芃) | 広州FC | 1989/5/9 | 32 |
DF | 6 | ティアス・ブラウニング(蒋光太) | 広州FC | 1994/5/27 | 27 |
DF | 20 | ワン・ガン(王刚) | 北京国安 | 1989/2/17 | 32 |
DF | 22 | ユ・ダバオ(于大宝) | 北京国安 | 1988/4/18 | 33 |
MF | 8 | ハオ・ジュンミン(蒿俊閔) | 武漢 | 1987/3/24 | 34 |
MF | 10 | チャン・シージャー(张稀哲) | 北京国安 | 1991/1/23 | 30 |
MF | 13 | ジン・ジンダオ(金敬道) | 山東泰山 | 1992/11/18 | 28 |
MF | 15 | ウー・シー(吴曦) | 上海申花 | 1989/2/19 | 32 |
MF | 16 | チ・チョグオ(池忠国) | 北京国安 | 1989/10/26 | 31 |
MF | 19 | イン・ホンボ(尹鸿博) | 河北 | 1989/10/30 | 31 |
FW | 7 | ウー・レイ(武磊) | エスパニョール | 1991/11/19 | 29 |
FW | 9 | エウケソン(艾克森) | 広州FC | 1989/7/13 | 32 |
FW | 11 | アラン(阿兰) | 広州FC | 1989/7/10 | 32 |
FW | 14 | ウェイ・シーハオ(韦世豪) | 広州FC | 1995/4/8 | 26 |
FW | 17 | ウー・シンハン(吴兴涵) | 山東泰山 | 1993/2/24 | 28 |
FW | 18 | チャン・ユーニン(张玉宁) | 北京国安 | 1997/1/5 | 24 |
FW | 21 | アロイージオ(洛国富) | 広州FC | 1988/6/19 | 33 |
赤字の「ウー・レイ(武磊)」選手が唯一の海外組です。
スペインのリーガ・エスパニョーラ・RCDエスパニョールに所属しています。
ウー・レイ(武磊)
南京市出身、1991年生まれの29歳。
中国では上海海港に所属し、2019年にスペインのリーガ・エスパニョーラ・RCDエスパニョールへ移籍。
中国のマラドーナとの異名をとります。
サッカー中国代表の帰化選手たち
2019年以降の中国国籍を取得した外国出身選手をご紹介します。
ティアス・ブラウニング(蒋光太)
イングランド出身、1994年生まれの27歳。
10歳でエヴァートンFCのユースチームに入団。
祖父が中国人のため、中国代表でプレーする権利も有しており、2020年10月に中国代表合宿に召集されている。
エウケソン(艾克森)
ブラジル出身、1989年生まれの32歳。
2011年よりボタフォゴFRに移籍し主力として活躍し、2012年広州FCに移籍。
2019年に中国国籍を取得。
アラン(阿兰)
ブラジル出身、1989年生まれの32歳。
ブラジルではグアラニFC、ロンドリーナEC、フルミネンセFCでプレー。
2015年、移籍金1100万ユーロ(約15億円)の4年契約で広州FCへ移籍。
2019年、中国国籍を取得し中国代表デビュー。
アロイージオ(洛国富)
ブラジル出身、1988年生まれの33歳。
ブラジルではグレミオ、サンパウロなどでプレー。
2014年、山東魯能へ完全移籍し、2015年シーズンには得点王に輝いた。
2020年、中国国籍を取得し中国代表デビュー。
ニコ・イェナリス(李可)
イングランド出身、1993年生まれの28歳。
7歳でアーセナルFCのユースチームに入団。
母親が中国人のため、中国代表でプレーする権利も有しており、2019年中国国籍を取得し代表デビュー。
フェルナンジーニョ(费南多)
ブラジル出身、1993年生まれの28歳。
ブラジルではソロカーバ、フラメンゴ、マドゥレイラでプレー。
2015年、重慶力帆へ完全移籍し、2019年から広州FCでプレー。
2019年中国国籍を取得し、2020年中国代表デビュー。
度重なる怪我のため、アジア最終予選メンバーには選ばれませんでした。
リカルド・グラール(高拉特)
ブラジル出身、1991年生まれの30歳。
ブラジルではクルゼイロなどでプレーし、2014年にはブラジル代表に招集される。
2015年、移籍金1500万ユーロ(約21億円)の4年契約で広州FCへ移籍。
2021年に中国国籍を取得しましたが、2019年の一時期ブラジルへレンタル移籍されていたため、FIFAが定める「5年間の連続滞在」という資格を満たせず、2023年まで中国代表としてプレーすることはできないという判定が降りました。
サッカー中国代表はオーバー30
続々と外国人選手を帰化させているサッカー中国代表。
代表メンバーの年齢をみてみると、帰化組も含めその半数以上がオーバー30歳なのです。
そんな中国代表のメンバー構成から見ても。世代交代が進まず帰化選手に頼らざるを得ない苦しい実情が窺い知れますよね。