2021年11月 最新情報
日本政府は徐々に入国制限の緩和を始めていますが、中国の隔離政策は変わっておらず、むしろ厳しくなっています。隔離期間は渡航する中国の都市によって異なりますが、入国後はおおむね3週間以上の隔離措置を受けることになります。
現在、中国渡航時の「日本国籍の14日間ビザ免除措置」と「2020年3月27日以前に発行された有効な訪中ビザ」は暫定停止中となっており、中国へ渡航するためには改めてビザを申請する必要があります。
この記事は、中国出張者である筆者が、コロナ禍の2021年にMビザ(商務貿易ビザ)を取得して、中国へ渡航するまでの手順についてまとめました。
今後、中国出張や渡航を検討している方の参考になれば幸いです。
この記事は筆者の体験談を記したものです。今後もコロナ感染状況の変化に応じたルールの変更が想定されるのでご注意ください
招聘状の申請
招聘状(Invitation letter)
コロナ禍の現在、新たにビザの申請をするためには中国の省政府クラスの商務庁または人民政府外事弁公室が発行したバーコード付き招聘状(邀请函/PU)が必要です。
コロナ前もビザ申請においては招聘状が必要でしたが、現地法人の責任者のサインがあればOKでした。
現在は、各省市政府クラスが発行する招聘状が必要となっており、日本人が中国出張する過程において招聘状の取得が最も難易度が高いハードルとなっています。
招聘状の申請
以下は、私が上海の現地法人に招聘状の申請を依頼した内容です。
申請先については地域により異なるので現地法人への確認が必要です
上海で外国人招聘状を申請する場合、下記資料の提出を求められます。
- 申請企業の基本状況(資本金・住所・従業員数・納税状況)
- 外国人招聘の理由
- 営業執照
- パスポートおよびビザのコピー
- 招聘者名簿と基本情報
- 入国後のスケジュール表
1〜3は中国現地法人が記載する内容です。
4〜6の内容を提出する必要があります。
⬇︎現地法人が提出したフォーマットです。
招聘状の審査は2段階
上海における招聘状の発行は、2段階の審査が行われます。
- 現地法人が所在する地区政府の承認
- 上海市政府外事弁公室の承認
招聘状の審査にかかる時間
招聘状の審査に、どのくらいの時間がかかるのかヒアリングしたところ、明確な回答は得られませんでした。
現地法人の影響力(納税状況?)および日中のコロナ感染状況などを鑑みて変動するものと思われます。
審査期間は、現地法人を通じて何度も進捗確認を試みましたが明確な回答は得られず、結局、ひたすら待つのみ。
私の場合、地区政府の審査に8週間、上海市政府の審査に3週間、延べ3ヶ月弱の期間を要しました。
招聘状の取得
審査に通ると、上海市人民政府外事弁公室の捺印入りのバーコード付き招聘状を受け取ることができます。
ビザ申請の準備
招聘状を入手できたら、ビザ申請の準備に取り掛かりましょう。
ビザ申請に際し、下記資料の提出を求められます。
- パスポート(原本とコピー)
- オンライン申請書
- 招聘状
- 渡航経歴書
- 査証予約確認表
詳しくは➡︎ 申請資料の準備>>>
ビザ申請にワクチン接種証明書が必須に
2021年11月1日から、中国査証申請時に日本の自治体等が発行するワクチン接種証明書の原本の提示及びコピーの提出が必須となりました。(接種証明書の入手が間に合わない場合は、接種会場で発行される「ワクチン接種記録証明書」でも代用可能です)
パスポート(原本とコピー)
パスポートの残存期間や未使用査証欄など、条件を満たしているかチェックしておきましょう。
- 有効期間が申請日から6ヶ月以上
- 原本は査証欄に余白2ページ以上あること
- パスポートの顔写真入りのページのコピー1部
オンライン申請書
中国ビザの申請はオンライン化されているので、中国ビザ申請サービスセンターのウェブサイトから、オンライン上で電子ビザ申請書の入力を行い、プリントアウトして署名します。
オンライン申請書では、下記10分類について入力します。
- 個人情報
- 申請情報
- 職業情報
- 学歴情報
- 家族構成
- 渡航情報
- 過去の渡航情報
- その他の事項
- 郵送情報
- サインと表明
全項目を入力できたらプリントアウトして署名しましょう。
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中国Mビザ取得|オンライン申請表入力方法
注意 ↓2024年5月27日から申請表が新しくなりました↓ 【2024年最新】中国ビザ取得|オンライ ...
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証明写真
オンライン申請の個人情報入力画面で、規定の要求を満たした証明写真をアップロードする必要があります。
中国ビザ申請センターにも証明写真機があるので現地でも撮影可能でした。
招聘状
すでに発行された招聘状(コピー可)を用意します。
招聘状にも有効期限があるので注意しましょう。
査証予約確認表
オンライン申請が完了したら、中国ビザ申請サービスセンターのウェブサイトから、窓口へ申請に行く日時をオンライン予約し、「査証予約確認表」を印刷しましょう。
申請受付時間は「9:00〜15:00」です。
- トップページ「高速リンク/査証]を選択
- 「個人予約(申請)」を選択
- 予約する「都市」を選択
[連絡先][申請番号][パスポート番号]を入力 - 予約が可能な「申請日と申請時間」を選択
- 「査証予約確認表」を印刷
ビザ申請の手続き
事前にオンラインで予約した日時に「中国ビザ申請センター」でビザ申請手続きを行います。
2021年2月8日より、ビザ申請時に指10本の指紋採取と写真撮影が義務付けられたため、申請者本人が窓口に行く必要があります。
下記資料およびビザ申請料金を持参していきましょう。
- パスポート(原本とコピー)
- オンライン申請書
- 招聘状
- 渡航経歴書
- 査証予約確認表
ビザ申請料金は>>コチラ
私は東京在住なので、ゆりかもめ線東京ビッグサイト駅にある「中国ビザ申請センター(東京)」で手続きをしました。
ビザ申請手順は以下の通りでした。
- 入口で査証予約確認表を見せて入館
- 申請の列に並ぶ
- 申請窓口で必要書類を提出
- 書類に不備がないかチェックされる
- 整理券を受け取る
- 自分の番号が呼ばれたら窓口へ
- 顔写真の撮影
- 両手10本の指紋スキャン
- 受領書にサイン
ビザが発給されるまではパスポートを途中返却してもらう事ができません。
審査に問題がなければ、基本的に通常4営業日でビザを取得できます。
航空券の購入
ビザが取得できたら目的地に向けたフライトチケットの手配です。
2022年1月現在でも、中国民用航空局(CAAC)による運行制限によって、航空路線を大幅に限定しています。
また、航空券の価格も割引の無い普通料金での販売となっています。
私が予約した成田=上海の往復チケットはエコノミーで約30万円でした。
コロナ前の格安チケットなら5万円程度で東京=上海を往来できましたよね。
会社の経費で落とせる方なら問題ないですが、現地採用や留学生などの場合は痛い出費になると思います。
注意事項
ダブル陰性証明
2020年11月8日より、日本から中国へ渡航する中国籍及び外国籍の旅客は、搭乗の2日前以内(検体採取日から起算)発行の新型コロナウィルスPCR検査及び血清IgM抗体検査のダブル陰性証明を提示することで搭乗可能となっています。
健康コードの申請
ダブル陰性証明を取得したら、中国駐日本大使館・総領事館に“HS”または“HDC”マークのグリーン健康コードを申請し、コードの有効期間内に飛行機に搭乗してください。
日本から中国へ行く乗客へお知らせ 搭乗に「健康コード」が必要になります
中国各地の水際対策
ビザと航空券を入手し、出国前のW陰性チェックをクリアできれば、物理的には中国への渡航は可能となりますが、ここで頭を悩ませるのが、中国入国後の水際対策(隔離措置)です。
中国の水際対策は非常に厳格に行われています。
日本の対策とは比べ物にならないほど、しっかり厳しく管理されています。
入境者に対する健康管理措置
まず、中国全土で共通なのが入国後最初の14日間の集中隔離です。
空港からランダムに指定されたホテルに移送されて隔離されるのですが、基本的にホテルの部屋から14日間出ることはできません。
また、隔離ホテルの滞在費は自己負担となっています。
さらに、最初の14日間の集中隔離期間が終了した後にも、「自宅隔離」や「健康モニタリング」を行う必要があるのです。
最初の14日後の措置については、滞在する各地方政府により異なっています。
例えば・・・
北京市
14日間の集中隔離+7日間の自宅隔離+7日間の健康モニタリング
上海市
【居住地あり】7日間の集中隔離+7日間の自宅隔離+7日間の健康モニタリング
【居住地なし】14日間の集中隔離+7日間の健康モニタリング
広州市・深セン市
14日間の集中隔離+7日間の健康モニタリング
香港
21日間の集中隔離
健康モニタリングとは
在中国日本国大使館のHPには以下のように記載されています。
健康モニタリングとは、期間中は各種の集団活動に参加せず、会食もせず、集まりもせず、かつ要求に応じて職場や社区などに健康状況を報告すること。通常の外出、仕事・生活は可能。(参照:在中国日本国大使館)
ただし、私が直接上海市政府に問い合わせた回答は以下の通りでした。
上海に居住地のない場合、指定された健康モニタリング施設で隔離されます。現在、その施設は上海には1箇所のみ”浦東世博園浦三路208号の錦江之星”です。この7日間は不要不急の外出はできず、会社への出社も不可です。
このように、ローカルルールが形成されるのが「中国あるある」なので、隔離覚悟で渡航する方は、十分注意して情報収集しましょう。
健康モニタリング施設として紹介されたホテルを大衆点評で調べてみました。
現在、暫定営業停止中と表示されており、コロナ前の評価は5点満点で”4.2”とまずまずといったところでしょうか。
隔離35日だったという情報も?
真意は定かではありませんが、シンガポールから中国へ帰国した留学生の場合、最終的に35日間の隔離を強いられたという情報も流れています。
ワクチンパスポートについて
中国入国時の隔離措置が厳しすぎるので、そんな隔離免除などの優遇措置を受けることができる「ワクチンパスポート」が導入されることを心待ちにしたいのですが、果たして現実味はあるのでしょうか?
日本のワクチンパスポート
7月26日から、新型コロナウイルスワクチンの接種歴を公的に証明する「ワクチンパスポート」の申請受け付けが全国の市区町村で始まりました。
2021年7月時点で中国は対象国ではありません。
使用可能な国はイタリア、オーストリア、トルコ、ブルガリア、ポーランドの5カ国と、韓国では隔離の免除に必要な書類の一つとして認められています。
日本政府の承認するワクチンはファイザー・モデルナ・アストラゼネカなのに対し、中国政府の承認するワクチンはシノファームとシノバックという国産ワクチンなので、日本発行のワクチンパスポートが中国で有効になる見込みは低いかもしれませんね。
中国のワクチンパスポート
中国でも北京・上海・広州・深圳の4大都市でワクチンパスポートの申請が可能になっています。
2021年7月現時点では、中国国外に渡航を計画をしている中国人留学生などを対象に発行しています。
また、外国人である日本人が取得できるものなのかも不明です。
1日も早く、ワクチンパスポートが整備されて、日中間の往来に隔離やPCR検査の免除といった優遇措置が受けられるようになってもらいたいですよね。
渡航および隔離について
さて、Mビザを取得し、航空チケットも予約した筆者ですが、直前になって渡航は一旦延期することになりました。
理由はいくつかあるのですが、やはり出張ベースで中国での厳格な3週間の隔離というのは、ビジネスを遂行するにあたって現実的ではないという判断をしました。(日本に帰国したらまた隔離もありますし・・・)
今後は、就労ビザを取得して長期滞在を視野に入れて、渡航方法を模索していこうと思います。
⬇︎一応、中国ホテルでの隔離に備えて準備もしていました。
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中国のコロナ隔離生活で準備しておきたい持ち物リスト
日中間の往来が徐々に緩和されつつあり、延期していた中国への赴任や出張を再開し始めたという話を聞くよう ...
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